計算方法
生活保護は、8つの扶助(@生活扶助 A教育扶助 B住宅扶助 C医療扶助 D介護扶助 E出産扶助 F生業扶助 G葬祭扶助)から成り立っていますが、毎月決まって現金で支給されるものは、生活扶助と教育扶助と住宅扶助だけです。
基本的には以下の式に当てはめます。
最低生活費
【a】生活扶助基準(第1類)+【b】生活扶助基準(第2類)+【c】障害者や母子世帯への加算額
参照 厚生労働省 生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法
【a】は、主に個人として必要な金額です。【b】は、世帯として必要な金額です。【c】は障害者手帳を持っていたり(1)、母子(父子)家庭であったり(2)、中学生修了前の子どもを養育している場合に加算される金額です。(1)と(2)を重複してもらうことはできず、どちらか高い方だけ加算されます。
精神障害者保健福祉手帳2級を所持している、34歳、独身、家賃38,000円のアパートに一人暮らししている場合で考えます。
柏市の級地(地価や物価を基にした階級のようなもの)は「2級地-1」なので、【a】は36,650円になります。【b】は39,520円になります。【c】は24,570円になります。これに家賃38,000円を加算します。柏市では45,000円まで住宅扶助が出るので、家賃が38,000円の場合はそのままの額が加算されます。
合計は138,740円です。仮に5歳の子どもがいる場合でプラス19,220円です。
忘れてはいけませんが、ここから、収入分が引かれます。収入は、働いて得た賃金はもちろん、障害者年金や諸手当も含みます。もし障害厚生年金2級をもらっている場合、平成27年7月28日現在では2ヶ月で219,249円なので、1ヶ月分の109,625円が毎月引かれます。
そのため、仮に障害厚生年金を受給していて、パートやアルバイトで30,000円の収入があった場合、最低生活費を上回るため、生活保護費は支払われないことになります。
生活保護費についての補足
生活保護を受けると、国民健康保険から抜けることになります。では医療費はどうなるのかと言いますと、現物支給です。もちろん薬などを直接もらうわけではありません。病院の受付で説明します。それで終わりです。
つまり、医療費が無料になります(ただし、生活保護に対応している医療機関に限る)。介護の費用も同じような感じになると思います。
私はもらったことはないのですが、出産や葬儀にかかる費用は、その都担当のケースワーカーさんに申請します。生業扶助についてはよくわからないのですが、例えばスーツを持っていない場合に担当のケースワーカーと相談することになると思います。でも私だったらちょっと相談しにくいです。
それ以外にも、NHK放送受信料、下水道使用料、粗大ごみ手数料、駐輪場使用料、市県民税、国民年金保険料、保育料が免除されます。
先ほどの例で、収入が最低生活費を(1円でも)超えると、生活保護が受けられなくなると書きましたが、生活保護受給者がなかなかそこから抜け出せない最大の要因は、この補足部分にあります。
家庭にもよりますが、医療費、NHK受信料、下水道使用料、国民年金保険料だけでも少なくとも20,000円はかかります。要するに、ギリギリの収入額で生活保護から抜けてしまうと、むしろマイナスになってしまうんです。生活保護費の基本料プラス50,000円くらい一気に稼げるような職に就かなければ、抜けようにも抜けられません。